そしてあっという間に放課後になり、私は急いで支度を終わらせた。

龍はいつも帰るのが早いから、急がないと!

そして鞄を持ち教室を出ようとした時、誰かとぶつかった。

「…っ痛…」


ぶつかった反動で思わずしりもちをついてしまった。
…痛すぎるよ…っ



「あ、悪い。怪我してねぇか?」

え、この声?

ぶつかった相手を見てみると、それは私が会いに行こうとしていた龍で。

…会えた!龍だ!




「大丈夫だよ!」


そう言って立ち上がろうとするけれど、うまく足に力が入らず立ち上がれない。


悶々としていると
「…ほら」
龍から差し出された手。

ーー…うそっ、龍が優しい。


差し出された手を掴むと、龍が起こしてくれた。

大きくて温かい、龍の手。


お礼を言おうと
「ありがとう!」
そう言った先に龍の姿はもうなかった。



いつの間にか手は離され、行ってしまったみたいだった。

…一緒に帰ろうと思ってたのに!!


すぐに走って靴箱に向かう。

さっきの痛みはもうなくて龍を追いかけるのに必死になる。



龍の靴箱を見てみると、そこにはもう靴はなくて。


…帰っちゃったのか。

仕方なく自分の靴を取り出し、外に出る。

あれ?待って、あれって龍?




校門の近くを歩いているのは紛れもなく龍だ。

よかった!まだ居たんだ!


走って声をかけようとした。
「…りゅ、」
でも、龍の名前を最後まで呼ぶことはできなかった。