「あんまり調子乗らないでくれるかな?
私に生意気な口聞くから叩いちゃった。
…ブスが気取ってんなよ。一番可愛いのは私だし、紘君にふさわしいのも私。紘君を好きになるなんて身の程知らずにもほどがあるんじゃない?」


勝ち誇ったように笑った佐藤さん。





少し、頬がジンジンする。

でもこんなの平気。




「佐藤さん、今のなんて言うか知ってる?
暴力っていうんだよ。
佐藤さんは確かに顔は可愛いよ。
でも中身は真逆だね。

…ホントぶさいく」





「うるさいうるさいうるさい!!!」



怒りで顔を真っ赤にした佐藤さんが、私をキッと睨みまた腕を振り上げた。



また叩かれる…っ、今からくる痛みに構えていると




「はいは~い。そこまで」




聞き慣れた声とともに、佐藤さんの腕を誰かが掴んだ。


「…紘?」

私がそう呟くと、こっちを向いた紘が挑発的に口角をあげて言った。

「翼、かっこよかった」

かっこいい、なんて言われても嬉しくないはずなのに今はその言葉がすごく嬉しかった。




「佐藤さんごめんね~。翼借りてくわ」


そう言い、佐藤さんの腕を離すと、今度は私の腕を掴み歩き出す紘。



それに反応したのは私ではなく、佐藤さんで





「…ちょ、ちょっと待ってよ!まだ話は終わってない!…私は紘君のことが好きなの!」