「とりあえず、そのだっさいお化粧落としたら?
あ、私が落としてあげるー。
翼ちゃんと違って、私は優しいからねっ」
そう言うと同時に、鞄からペットボトルを取り出した佐藤さん。
…まさか、
そう思った時には、もう遅くて。
バシャンッという音と共に私は顔も服もびしょ濡れになっていた。
水分を含んだ服が肌に張り付く。
水が目に入り、目をこすったら手にマスカラがついた。
…とびきりの自分で、紘に告白したかったのに。
鏡を見なくたってわかる。
今の自分、相当惨めだ。
「うんうん。その方が似合ってるよ?
翼ちゃんカワイーー。とってもカワイーー」
馬鹿にしたように笑い手を叩いてカワイイと連呼する佐藤さん。
ーーーーー…もう、ここまでされたんだから
紘のこと好きだと黙っていたこと
許してくれるよね?
「………うん。
今の私は佐藤さんよりずっとずっと可愛いよ」
そう言うと、笑っていた佐藤さんの顔がどんどん変わっていく。まるで般若のように。
「は?きも。何言ってんの。」
「だから人のこと馬鹿にして笑ってる佐藤さんより、私は醜くないって言ってるの。
今の佐藤さん、凄いよ。
……全然可愛くない」
「はぁ?意味わかんない。
あんたより私の方が可愛いし」
「可愛くないよ。人に水かけてそれを笑ってる性悪女のことなんて誰も可愛いなんて思わない。
ていうか醜い」
「…っ私が、醜い?」
ぷるぷると手を震わせ
怒りに満ちた表情で私に近寄ってきた佐藤さんは
パチンッと大きな音を立てて私の頬を叩いた。

