ヒロインvs悪役


「…うん、うん!私頑張るよ!」

ずっと好きだったんだ。

ここで頑張らずに佐藤さんに紘を取られたら一生後悔する。



「よし、その意気だよ!…でもね、そんなすぐに人って変われるものじゃないのよ」




沙羅の言葉がクザリと胸に突き刺さる。

そうだよね、そんな一瞬で可愛くなれるなんて、そんなの無理だよね。

…長期戦でいくしかないの、かな。


少し沈んだ気持ちになっていると、沙羅に肩をポンっと叩かれた。




「でもね、翼。
女の子が一瞬で可愛くなれる方法、あるのよ」

私を見ながらニヤニヤと怪しく笑う沙羅。

…なにその顔…。

女の子が一瞬で可愛くなる方法?





私が思いつくものといえば

「整形、とか…?」

そう言うと、沙羅は近くにあった教科書を丸めて私の頭をポコっと叩いた。




「アホ。あんたにそんなお金あるの?」

「ないです」

「整形じゃなくて、メイクよ。メイク」




人差し指を立てくるくると回しながら自慢げに言う沙羅。