ヒロインvs悪役

結局考えているうちに昼休みは終わってしまった。



授業中もずっと頭の中で再生される佐藤さんの言葉。

うかうかしてたら佐藤さんに紘を取られてしまう。


だって佐藤さんは可愛い。
そんな可愛い子に好かれたら誰でも嬉しいよ。

…紘も嬉しいにきまってる。






「じゃあ、翼が可愛くなればいいんじゃない?」


放課後、教室で残ってもらい沙羅に話したところ、突拍子のないことを言われた。



「私が…可愛く…?」

こんな見た目男みたいな私が?

沙羅はおかしいのだろうか。




「だいたい翼は勿体ないのよ。綺麗な顔立ちしてるくせに女っ気が一切ないんだもん。
そんなんだから佐藤さんにもずけずけと言われるのよ」


「そ、そういうもん?」


「当たり前でしょ!要は佐藤さんは翼のことをライバル視すらしてないのよ。
あんたのことを可愛いと思ってないからね、佐藤さん」



そうか、それは…だいぶショックだ。



「だから可愛くなって紘くんにアタックよ!」



少し鼻息が荒い沙羅を遠目で見ながら考える。


紘は私が可愛くなったら、恋愛対象として見てくれるだろうか。



少しは意識、してくれるのかな、