「ふふ、ごめんね?
いきなり声かけちゃって。」

「い、いえ……」


笑った…。

やっぱり素敵な笑顔だなぁ。


「僕、シリル・ユアン……って、知ってるかな。
僕、君の名前知りたくて…」

「私の…?」


そっか、隣の人の名前知らないのって、
モヤモヤするもんね。
私はもうユアンさんのこと知ってるけど。


「えっと、麻倉ひまり、です。」

「ひまりちゃんか。
うん、可愛い名前だね。」

「…!」


か、可愛いなんて、
ニコニコしながら言われたら、
少し恥ずかしい…。
照れてしまう……。


「これからよろしくね。」

「…っ、うん!」


ユアンさん、とっても人当たりのいい人だ。

でも何だか、
肌がすごく白くて、
どこか不思議なオーラを纏っていて、

まるで


「吸血鬼…。」

「……え?」


え、口に、出てた?


「う、ううん!何でもないよ!」


吸血鬼と人間が一緒に暮らすっていうのは当たり前だし、
吸血鬼でも別に不思議なことではないんだけど…