シリル・ユアン視点


「サディ、あの子甘い匂いがする。」

「そうだな。すげぇ、いい匂い。」

「僕、あんなに甘い匂い嗅いだことない。」


とても甘い匂いだった。
僕が初めて

吸いたい

なんて思ってしまった人。

名前、なんて言うのかな。


「お前、吸いたいって思っただろ。」


やっぱサディには分かっちゃうか。
さすがだな。

僕はサディの言葉に頷いた。


「奇遇だな。俺も吸いてぇ。」

「でも僕は、相手の嫌がることはしたくない。」


いつも言ってることを口にすると、

またか。お前らしいけど。

って返ってきた。

仕方ないじゃないか。
痛がってる顔は、好きじゃないんだから。


「おいシリル。俺らもそろそろ行くぞ。」

「あぁ、うん。行こっか。」