誰かの話し声がぼんやりと聞こえた。

私、いつの間にかうたた寝しちゃってたみたい…。

目をゆっくり開けると、


「ん……あれ、ユアンさん?」


目の前にはユアンさんがいた。
何だか、少し頬が赤いような…


「ひまり!待たせてごめんね!」

「あ、ううん、大丈夫だよ!」


あれ、そういえばユアンさんって、
何しに教室へ来たのかな?

教室を見渡すとユアンさんはいなくなっていた。

いつの間に帰ったんだろう…


「よし、帰ろう!」

「あ、うん!」


さーちゃんの言葉に頷いてスクールバッグを持つ。
その時、黒いペンケースが視界に入った。

私の隣だから、ユアンさんのかな?
もしかして、これ忘れちゃったのかな。

今ならまだ間に合うかな?


「ひまり、行こ!」

「うん、今行く!」


パッとユアンさんのペンケースを持って、
さーちゃんと教室を出た。