シリル・ユアン視点


教室にペンケースを忘れてしまい、
サディを校門に残して取りに戻る。

教室のドアは開いていて、
入ることはとても簡単だった。

でも


「……。」


教室の一番後ろ。

窓側の席で、窓辺に寄りかかり
目をつむっているひまりちゃんがいた。

夕焼けのオレンジ色に照らされて、
優しい風がふわふわの髪を揺らして、

なんだかとても、目を惹かれた。

すごく、キレイだと思った。

そして
たったこんな出来事で

恋に落ちてしまうんだ…

そう思った。


「あれ、何してんの?」


窓際にいるひまりちゃんに目を奪われていると、
突然誰かに声をかけられた。

ハッとして振り返ると、
そこには悠木さんがいた。


「悠木、さん。」

「入らないの?」

「あ、うん…今入るよ。」


少しの動揺を必死に隠して教室へ入る。


「ん……あれ、ユアンさん?」


あぁ…可愛らしいな……。