寂しがり屋の月兎

ふわふわの黒髪を揺らす小柄な少女に兎田は手を伸ばした。

「じゃあ、手繋いでくれる?」

望の返事を聞く前にひょいと右手を取り上げる。

「えっ……。と、友だちは、手を繋いだりなんてしないと……」

頬を赤らめてもごもごと言うのがまた可愛い。

「行こっか」

自然と零れる笑みをそのまま望に向けると、ますます赤くなって、目を逸らす。

目が合わなくなったのは不満だったが、手を繋ぐことに反対しなくなったのでよしとする。

小さく柔らかい手を丁寧に握って、再び雑踏に紛れ込んだ。