寂しがり屋の月兎

「あの腹黒男……」

ボソッと低く有明は呟く。

「腹黒ってほどではないぜ」

曖昧なフォローを入れたのは三日月だ。

ギロリ、と有明の眼球が動いたので、口を噤んで無になる。

しばし三日月を睨んだ有明は、ため息をついて兎田たちとは別方向に歩き出した。

三日月は意外に思いながら有明に並ぶ。

「てっきり、信号変わるの待って追いかけるかと思った」

「あの男が望を泣かせたら埋めてやるわ」

どこにだ。山にか。墓にか。

物騒である。なまじ実行しかねないので、怖さが増幅する。