「のーぞーみー! 有明さん来てるわよー!」

「はーい!」

ぱたん、とノートを閉じて、自宅の部屋の椅子から望は立ち上がった。

ノートの表紙を撫でてみる。

今まで描けなかったのが嘘のように、スラスラとペンは動き、今やノートの半分くらいまでコマ割りで埋まっていた。

兎田くんのおかげかな、と麗しの美少年を思い浮かべつつ、望は玄関を出る。

有明がそこで待っていた。

ほう、と望は彼女に見惚れる。

同性すらも見惚れさせる美少女がそこにいる。