寂しがり屋の月兎

「……一緒に行くことにしました……」

聞き終えて兎田は満面の笑みを浮かべ、有明は兎田が親の仇であるかのように睨みつけ、三日月はああ、だかおお、だか、曖昧な相槌を寄越した。

「この腐った害虫め」

「有明さん、言葉遣いが荒いよ」

「虫除けスプレー買ってくるんだったわ」

「俺にかけるつもりじゃないだろうね」

二人の言い争いは止まらない。

北風と太陽のような二人を、旅人の気分の望はなんとかせねばと思うばかりで、川辺で立ち往生である。

「落ち着け」

兎田に手刀を浴びせつつ、三日月が仲裁してくれる。