寂しがり屋の月兎

三日月が兎田を引きずっていったのは、学校からそこそこ離れた公園だった。

駅と高校の中間地点くらいにあり、三日月は気遣いの達人だな、と望は思った。

「えっと、とりあえず、どなたでしょうか」

三日月は丁寧に有明に問う。

望と有明が並んで、木でできたテーブルを挟み兎田と三日月が並んで、ベンチに座っている。

有明はそっぽを向いたままで、返事をしない。

慌てた望が代わりに紹介する。

「えっと、私の友だちの、有明さんです」

「どうも。俺は三日月です」

「望ちゃんの友だちの兎田です」

張り合うように兎田が言う。

きっと有明が兎田を睨みつける。

兎田は崩れない笑顔で鋭い視線を流した。