寂しがり屋の月兎

なんだか、冷たい風が吹き抜けたような感じがする。

有明のたおやかな腕の中で、望の思考はとうに停止していた。

「あ、朔。玉川さん……も……。……え? どした?」

校門から出てきたのは三日月だった。

対峙する両者と半泣きの望を見て、しばし固まっていたが、

「……ここにいるのは迷惑だから、お前ら全員来い」

と一声告げて、兎田の首根っこを引っ掴んで歩いていく。

有明は帰ろうか迷ったようだったが、話をつけようとでも思ったのか、大人しくついて行った。

望は有明に手を引かれて、わけが分からないまま歩いた。