寂しがり屋の月兎

「あの……私、今日は、帰りますね」

「え?」

言い置いて、兎田に背を向け急ぎ足で庭を出る。

けれど兎田も追ってきた。

彼は普通に歩いている風なのに、速足の望に余裕で並んでいる。

「じゃあ一緒に帰ろうよ」

「えっ……!」

驚いて歩調が緩くなる。

努力してそれを立て直し、懸命に歩いた。

本当は走って逃げ出したいくらいの気分だったが、さすがに失礼なのでできない。

「望ちゃん電車?」

「そ……です」

「俺も」

「えと、でも……」

「俺と一緒に帰るのはいや?」

いやではないが!