寂しがり屋の月兎

兎田と映画を観に行くことになったのだ。

兎田の雰囲気からして、多分二人きりである。

それから、左手にはまだ先程の感触が残っていた。

兎田の手の感触である。

余裕で望の手を包んでしまえた彼の手は、白く、長い指を持っていた。

少し骨ばっていて、男の手なのだと、望に分からせるには十分だった。

思い返して、また赤面する。

まだ涼しい風に顔を冷やしてもらう。

対する兎田は、楽しそうに嬉しそうに笑っていて、もう望はどうしていいか分からない。