寂しがり屋の月兎

望は悲鳴を上げそうだった。

顔はこれ以上ないほど朱に染まり、指先が小刻みに震えている。

ぎりぎりの均衡に耐えられなかった。

「いきます……!」

喉の奥から絞り出した声は掠れていた。

それでも兎田には伝わったらしい、美貌の少年は微笑んで、一度望の手にきゅっと力を込めた。

「やったー。ありがとー。じゃあ連絡先教えて?」

こくこくと頷き、ようやく手を解放してもらう。

なされるままに互いの連絡先を交換してから、ようやく望に思考能力が戻ってきた。