寂しがり屋の月兎

望の左手に兎田が指を絡め始める。

ゆっくりと握りしめる動きがやけに艶やかで、自然と顔が赤くなる。

首筋を撫でる風は爽やかなのに、兎田と望との間の空気は、なぜか密度が濃かった。

「だめ?」

指を絡めたまま、兎田は望の手を口元近くに引き寄せた。

視線は望から逸らさない。

望も彼から目を外せなかった。

色素の薄い、茶色の瞳だ。彼の髪と同じ色。

ガラスのような瞳。澄んでいるそこに、望が映っている。

それがひどく背徳的だった。

「望ちゃん」

兎田の唇が、望の手に触れそうになる。

意図してか否か、唇が触れそうで触れない位置を、兎田は保っている。