寂しがり屋の月兎

階段を上りきった先にあるスペースで、望は三日月と向かい合って座る。

そういえば、なにを話せばいいんだろうか。

なんのために呼ばれたのだ?

今さらながら緊張してきた。

「玉川さん」

ゆっくりと弁当箱を開いていると、あぐらをかいた三日月が喋りはじめる。

「朔、今日は保健委員会でいないんだ」

「そうでしたか」

兎田くん、保健委員会なんだ、と思いつつ相槌を打つ。

「実は、玉川さんと昼一緒したがってた」

「そ……」

反応に困る。

望は未だに、兎田という男のことを分かりきっていない。