寂しがり屋の月兎

『とにかく、変な虫は近づけちゃだめよ。害がないと思わせといて、とんでもない毒を持っていたりするんだから』

「うう、分かった……。ありがとう、有明さん」

『どういたしまして』

頼りになる友人との通話を終えて、望は頭を抱え込む。

やはり断るべきだろうか。

異性と出かけるなんてどうすればいいのか分からない。

ましてや相手は美少年である。

隣に並ぶのに気後れするのは、なにも望だけではないはずだ。

しかし、上手い断り文句も思いつかない。

なんとか断って、一人で映画を観に行って、その先で兎田とばったり出会ったりなんてしたら、気まずすぎる。

保留の答えが定まらないまま、望の夜は更けていくのだった。