寂しがり屋の月兎

連れてこられたのは、屋上に通じるドアの手前だった。

この学校では、屋上への出入りは禁止されている。

だからだろうか、階段を上った先にあるこの場所には、人が立ち寄らない。

そしてそこでは、三日月が待っていた。

「三日月くん」

「どうも、玉川さん」

ひらひらと手を振る三日月は、レジャーシートの上に座っていた。

望も兎田に肩を押され、三日月の対面に座らされる。

兎田は望の隣に腰を下ろした。

「えと……これは、どういう……」

兎田から差し出される自分の弁当袋を受け取りながら、望は誰にともなく問いかける。