寂しがり屋の月兎

望は観念した。

「わ……わかった」

望の返事で教室がまた揺れ、兎田は目を細めた。

「やった。じゃあ、行こ」

「へっ?」

「お弁当持ってー」

「え、えっ?」

望の弁当袋を左手に、右手で望の手首を掴んで、兎田はてくてくと歩き出す。

教室が三度揺れた。

小さく女子の悲鳴も聞こえたような。

これはもしや、断った方が正しかったのだろうか、と考えても遅い。

今後の自分の立場について考えを巡らせながら、望は兎田に引かれていった。