望の表情筋は、これでもかと引きつる。

クラスメイトの心の声が聞こえるようである。

あれほどまでのイケメンが、友だちもいない地味な女子になんの用だ?

どういう関係だ?

視線が痛い。

針でつつかれているような気分になりながら、望は体を縮こまらせて兎田に歩み寄った。

「と、兎田くん、どうかしたの……?」

この男、なぜこんなにも目立つのだ。

ただ立っているだけなのに、通りすがる人間が必ず二度見していく。

男女問わずである。

特に女子の視線が熱い。

燃える瞳で兎田を見つめ、凍った瞳で望を一瞥していく。

驚くべき温度差、水星並みだろう。