「望ちゃーん」

「ふわぁっ!?」

ぱたんっ、と条件反射でノートを閉じた。

思いのほか大きな声を出してしまっていたらしい、若干クラスメイトの注目を集めている。

先ほど四時間目が終わり、現在は昼休み中である。

都合のいいことに望の席は、窓際の一番後ろなので、油断していつものノートを開いていた。

そこに教室外から、まだ聞き慣れないあどけない声がかけられたのである。

「と……兎田くん……」

声の主は、誰もが見とれるきらきらの笑顔で、廊下に佇んでいる。

なぜ望のクラスを知っているのだ。

望は教えていない。