自分の耳が捉えた台詞を信じられなくて訊き返した。

「漫画見られたくないなら、見ないよ。直接関わらなくても、手助けできることってたくさんあると思うんだよね」

兎田は話を先に進めている。

「ちょ、ちょっと待って」

「ほら、例えばポーズとか。名前も。言い回しとかも。他人の意見も取り入れたら、いいものになるんじゃない?」

「た、確かにそうかもしれない……けど……」

「ね?」

兎田は笑みを絶やさない。

絶やさない、しかも眩しいくらいの微笑みなのだが、「ね?」の一言にとてつもない威圧感が込められていたように感じられた。