兎田はイラストを細部まで観察している。

隣で望はいたたまれなくて、身を縮こませる。

「じゃあね、女の子のほうが満。男のほうが新。っていうのはどう?」

逡巡なく提案されて、望はしばし内容を理解できなかった。

名前の話だ、と思い至って、口の中で呟いてみる。

「満と、新……」

満と新、ともう一度囁いた。

「すごく、好き……」

零した言葉を兎田は聞き取ったらしい。

近い距離で顔を覗き込んでくる。

「本当に?」

「本当……に。とても、いい名前だと思う」

するりと言葉が滑りでた。

望の唇は弧を描き、目は嬉しげに細められている。