寂しがり屋の月兎

唇を震わせる望に、兎田は柔らかな笑みを見せた。

なぜだろう、兎田が微笑むと、彼の周囲の空気が黄金に輝きだすような……。

「言いにくかったら、ゆっくりでいいよ」

言わなくてもいいよ、ではないのか。

そもそもなぜ漫画の中身を知りたがるのだ。

思いはしても言えるわけがない。

望には、友だちといえる友だちは、一人しかいないのだ──兎田を除けば。

友だちとの接し方など分からない。

ましてや男子、その上眉目秀麗な男である。