寂しがり屋の月兎

軽く首を傾げつつ、兎田は乗り出していた身を正常な位置まで戻した。

対照的に後ろに反っていた望も、ほっとして座り直す。

「流れ……! これだからイケメンは!」

少し悔しそうに彼は兎田を睨んだ。

「望ちゃん。あれは、三日月というんだよ」

「紹介の仕方な」

僅かに眉を上げて、三日月は望に向き直った。

「えっと、三日月です。朔の友だち」

「は、はい……。えっと、私は玉川望です」

三日月。きれいな名前だ。

「玉川さん、あのさ、不躾かもしれないけど、訊いていい? 朔とはどういう?」

「えっと……よく分からないんですけど、友だちです」