寂しがり屋の月兎

有明には友だちがいない。

中学校生活を一年間終え、二年の春が過ぎかけていても、友だちはできなかった。

多分これからもできないだろう、と有明は思う。

友だちができない理由も有明はわかっていた。

彼女が友だちを必要としていないからである。

そりゃあ友だちなどできるものか、作ろうともしていないのだから。

ところで友だちとは、どんなものなのだろう。

茫洋とそんなことを考えているのは、この状況に困惑しているからだ。

困惑し、逃避している。

有明は、解決策を持っていなかったし、見つけられなかったから。