寂しがり屋の月兎

あからさまな困り顔で望は兎田を見つめた。

三秒ほど。

それ以上は無理だった。お顔が麗しすぎる。

かなりの勢いで望は顔を背けた。

ノートを抱えている左手とは逆の、右手を頬にパシリと当てる。

たちまち赤面してしまう。

「……あの、望ちゃん。下の名前で呼ぶのそんないや? 無理にとは言わないけど、そんな露骨にされると俺、傷つくな……」

「えっ、いや、なんというか……」

すがるように言いつつ兎田は望の顔を覗き込む。

頬の熱が増した。

先ほどよりも距離が近いような気がする。