寂しがり屋の月兎

「……そっか……」

「うん」

無邪気すぎる笑顔に、それ以上問うことができず、望は自分を納得させた。

そう、きっと、きらきらしている上層階級の人は、誰とでも友だちになれるんだ。

自然と、初対面でも、友だちを作るんだ。

彼の数多いる友だちの中の、末席に望は加えられたのだ。

と思うことによって、なんとか心の平穏を取り戻した。

「望ちゃん」

「うん? ……というか、望ちゃん?」

「俺のことは朔でいいよ」

「さ……いやあの、ハードルが……」

無理だ。無理に決まっている。

望は途方に暮れた。

男子をナチュラルに名前呼びできる人間ではない。

しかも兎田は、そこらの男共とは比べものにならないくらいの美貌である。

無理だ、下の名前で呼ぶなど、天罰が下る。