『大丈夫?』

振り向いた新は申し訳なさそうに満に言った。

『ごめん。痛かったよね』

新の右手が満の頬に触れる。

包み込まれると、痛さが薄らいだ。

『新……くんが謝ることなんて、なにも、ない……。ありがとう』

助かった、と小さな声でささやいたのと同時に、ぽろりと雫が零れた。

新が慌てて拭っている。

痛くて泣いたのではなかった。緊張の糸が切れたからだろうか?

ほっとしたのだった。

安堵と涙が込み上げてきて、どうにもならない。

目尻を優しく撫でる新を見つめた。

『新くん……』

『うん?』

『好き……』

新の手が止まった。

『新くんが勇気をくれたの……。ほんとに感謝してる……』

頭が働いていないまま、思わず告白していた。

『……満』

新が満の頭を撫でた。

新はうっすら頬を赤くして笑っていた。

『俺も好き』

『へ……』

『俺も満のことが好きだよ』

微笑む新に偽りはなかった。

二人はゆっくりと手を繋ぐ。

幸せの空気が二人を取り巻いて、黄金にきらめいていた。