寂しがり屋の月兎

「だめです」

望は再び言った。

たとえ兎田がどれほど美男子でも、いくら格好よくても、とてつもなく可愛くても、譲れないものはあるのだ。

「ちえ」

兎田は唇を突き出してふてくされてみせる。

そんな顔も美人だなあ。

けれどほだされない望の顔を見て、兎田は諦めたらしかった。

「分かったよ。でも、見せたくなったら見せてね」

「……えっと、兎田くん……」

「はい。俺です」

ようやく脳が機能してきた。望は彼に疑問をぶつける。

「あの、なんで友だちになろうだなんて……?」

「友だちになりたかったから」

「…………」

二の句を継げない。