寂しがり屋の月兎

兎田をはたいたのは有明だった。

「有明さ……」

言いかけた望を兎田から奪い取り、ぎゅううと抱きしめる。

「望。もう。心配したのよ。怪我してない?」

「してない……」

「そう。よかった。あの女は潰してやる」

「あ、有明さんそれは」

「止めても無駄よ」

望を抱きしめる腕に力が込もり、ぐりぐりと肩に頭をすりつけられる。

よしよし、と背中を抱きしめ返すと、兎田の視線に気がついた。