寂しがり屋の月兎

目を見開いた望にものも言わず歩み寄り、華奢な体を抱きしめた。

「……!?」

はあ、と耳元で兎田が息をつく。

望の頬がたちまち赤くなった。

「望ちゃん」

ささやくのをやめてほしい。

腕から逃れたい、と思っているのに体は動かず、そして腕の中で安心している自分に気づく。

動揺する望になにか言おうとした兎田は、すぱんと頭をはたかれて振り返った。

「邪魔しないでほしかったな」

「邪魔しないわけないでしょ」