寂しがり屋の月兎

兎田とあちこち巡り歩いた。

兎田のクラスの巨大迷路にも挑戦したし、屋台で食べ物を買ったり、軽音楽部のライブを見たりもした。

「すっごく格好よかった……」

ぐっと拳を握る望である。

「うん、すごかったねえ」

「鳥肌立っちゃった」

すさまじいライブだった。

感動に浸る望を愛しげな目で兎田が眺めている。

二人の休憩時間はそれで終わり、それぞれの持ち場へと別れた。

別れるときに兎田が、

「絶対にふわふわしてたらだめだからね。変な男にはついていっちゃだめだからね」

と真顔で言っていたのだが、望は内容を理解せず、とりあえず頷いておいた。