寂しがり屋の月兎

微妙に目を逸らして逃げてみる。

すすす、と兎田が覗き込んできた。

「似合ってる」

「……そんなこと言うの兎田くんだけだよ」

「そうなの?」

兎田はここでなぜか安心したような顔をした。

「他の男に口説かれでもしてないかと不安になったけど、ならいいや。ほんとは可愛い格好見られるのもやだけど、それはどうしようもないし」

「……?」

「よし。では、行きますか」

兎田が微笑んで同意を求めた。

校内を回るなら着替えたいのだが、あいにくそんな時間はない。

羞恥心を押し殺して、望は目の前の笑顔に頷いた。