寂しがり屋の月兎

文化祭の準備は滞りなく完了した。

祭りにふさわしく、秋晴れの日だ。

空の色は薄く、ときおり吹く風が気持ちいい。

喫茶店らしく内装された教室で、望はぱたぱたと給仕をしていた。

望が着ているのは、黒のワンピースと白いエプロンだ。

ワンピースの襟元にはレースがあしらわれている。

腰の位置で一旦絞られ、ふんわりとスカートが広がっている。

エプロンはフリルで縁取られ、愛らしい意匠である。

服は可愛い、それは間違いないのだが。