寂しがり屋の月兎

兎田の気配が近い。

「じゃあ」

呟く声が近い。

「これからはもっとたくさん会おうね」

「えっ」

「ね」

じいい、と兎田は望を見ている。

「ね?」

「……はい」

なんとなく根負けしたように頷いていた。

兎田はにっこりする。

……ちょっと黒いような気がしないでもない……?

「もうすぐ閉会式かな。さすがにサボるのはまずいから、行こっか」

「あ、うん」

握られていた手は教室を出る間際に開放された。

ほんのちょっぴり、物足りなくなったのは、なかったことにして心の奥に押し込めた。