寂しがり屋の月兎

「私も……」

無意識に言ってしまってから、望は我に返った。

釣り合わないもんね──冷たい声が脳裏で響く。

「そうなの?」

確かな言葉が、証拠がほしいとでも言うように、兎田は訊ね返した。

指先が絡む。

冷たい声が溶けて消えていく。

頬に血が上る。

望は嘘が下手だ、目が泳いでしまう。

仕方なく目を閉じて頷いた。

前にもこんな空気になった。密度の濃い空気。

こういうのは、どうも苦手だ。