寂しがり屋の月兎

「うん。仕方ないよね。でも寂しかった」

ぎゅう、と掴まれた手は離れない。

兎田は望に視線を注ぎ続けていて、望はそのガラス玉の眼に魅入られる。

「会いたかった」

小さなささやきが胸に刺さる。

甘く刺さる。

なんて美しいんだろう、と望は思う。

前髪に隠れそうなガラス玉の瞳。

明るい茶色のそれは、なんでも見透かしてしまいそう。

ぽろりと零れたそれは望の本心だった。