寂しがり屋の月兎

「なにしてた……の?」

望は遠慮がちに兎田に訊いた。

兎田ははちまきを外して机の上に置いている。

「疲れたから休んでた。望ちゃんに会えて運がよかった」

休んでた、といっても、体育大会中は基本団席にいなければならない決まりだ。

つまりサボりであろうか。

望の思考を知ってか知らずか、兎田は彼女の手を取った。

「ねえ、俺のこと応援してくれた?」

「へ……うん、したよ」