寂しがり屋の月兎

ぶんぶんと勢いよく首を振る望に、彼女はまだ疑いの目を向けている。

「前に、兎田くんがお昼ごはん誘いに来たとか……」

「友だちなので……!」

「へえ?」

まあそうか、と言って彼女は笑った。

「釣り合わないもんね」

望の顔が強ばる。

とても無機質な声だった。

そして彼女は身を翻して去っていった。

どくり、と脈打つ心臓が煩わしく思える。

兎田のそばにいるというのは、こういうこと……。

望は深く息を吸って、はちまきを手に取った。