寂しがり屋の月兎

うん、と言わざるを得ない望の返事を聞いて、兎田は満足気だ。

競技の話をしつつ校舎に辿りつき、着替えのために別れる。

女子生徒の着替え場所に入ると、なぜかざわりと注目を集めた。

「……?」

居心地悪く思いながら着替え始めると、見知らぬ女子が近づいてくる。

「ねえ、玉川さん」

「えっ……なんでしょうか?」

人見知りゆえ戸惑いながら返事をすると、その女子は口角を上げて笑んでいる。

髪を巻いて、高い位置で結っていた。