寂しがり屋の月兎

最後の花が散った。

弾けた火が消えるまで熱心に見つめてから、ほう、と望はため息をついた。

感嘆のため息。花火の余韻に浸る。

しばらくぼんやりした後に、手の感触が戻ってきた。

自分の手を包む大きな手の持ち主に顔を向ける。

「……っ?」

なんだかやけに近い位置に彼の顔がある。

「兎田くん……?」

「うん。……花火、綺麗だったね」

覗き込むようにしながら兎田は言う。

望は素直に顔を綻ばせた。