寂しがり屋の月兎

花火だけでなく自分も見てほしいと思って、望の手を握ってみたのだ。

なんとなくの行動が、自分のどういう意思に基づいてなされたのか。

それを兎田は自覚した。

ああもしかして、と兎田は思う。

もしかして俺は、彼女のことが好きなのかな。

今までのどんな女の子にも抱いたことのない感情である。

なるほど、知らなかったからわからなかったのかな。

恋を自覚した少年は、そんなことを冷静に考えながら、手を繋いでいる少女を見つめ続けた。