寂しがり屋の月兎

兎田が小首を傾げて望を見ていた。

「な、なんでもない」

「そう?」

兎田に向かって今度は小さく頭を振る。

「じゃあ行こうか」

兎田が当たり前のように望の手をすくいとった。

望は硬直し、周囲の女子からは声なき悲鳴が漏れる。

すすす、と兎田が顔を覗き込んできた。

兎田の手は緩い。望が手を退けば、それで繋がることもなくなる。

兎田はなにも言わない。

つまりこれは、望が選ぶことだということだ。