少女は怒っているのだった。

自分より格下の……格下だと思っている相手が楯突いたから怒っているのだ。

理不尽だ、と満の心が叫ぶ。

彼女たちにとって自分はなんでも言うことを聞いて、なにをしてもいい、都合のいいものなのだ。

喉の奥から声が勝手に溢れた。

『私はあなたたちの奴隷じゃない……! 悪意を振りかざして、それを楽しむような人たちに、私は負けない……』

自分の左頬で乾いた音がして、少し頭が振られた。

一瞬ののちに頬が熱くなり始める。

目の前には荒い息をする少女がいる。

満は吹っ切れたような顔をして、真っ直ぐに彼女たちを見ていた。