「藍」

「…おう」

未来は思い出した。いつか母の有里華が口にしていたこと。

[ミクも覚えときな。本当にいい男はさ、大切にしたい相手ほどすぐ手を出してこないからね。見極め大事よー]

未来はソファーに座ったまま、隣に座る藍を見た。

目が合うと藍は決まりが悪そうに目をそらした。

「藍」

「もう言わねえからな」

「言って」

「…」

「言ってよ」

「…不安にさせて悪かったな」

「それはいいから」

未来は藍に少しだけ近づいた。

「藍からしてよ」

「なにをだよ」

「あるでしょ。好きを身体で表現するみたいなの」